「コンサルタントから『あなたならやればできる!』と起業を勧められ、勧められるままに起業しましたが、お客様がまったく来ません。」と、私に相談してくれるお客様もいます。
もちろん、起業した際の商売は自分がやりたい商売ではなく、起業コンサルタントから「これで起業しなさい」と言われた商売で起業しています。そのため、知識も経験もないまま起業しているため、そもそもが商売として成り立っていません。
世の中には色んなコンサルタントが存在しますが、コンサルの中でも一番謎なのが「起業を勧める起業コンサルタント」です。
起業コンサルタントとは、起業する際の手続きや、集客のサポートをする仕事だと考えられています。要は、自分でやりたい商売があり、その商売で起業を決めている人に対してサポートを行うのが、一般的な起業コンサルタントです。
だとすると、起業を勧める起業コンサルタントは、やっていることが本末転倒です。
起業を勧める起業コンサルタントに相談する人は、「組織に頼らず、自分の名前で食べていける」とか「起業すればすぐに数百万円稼げる」という、起業コンサルタントの甘い言葉に誘われて、起業しています。
ということは、起業コンサルタントの商売内容は、「起業サポート」ではなく、「起業させること」になります。
商売は何でもいいので、とにかくお客様を起業させることができれば、お金が入ってきます。なぜなら、「起業させること」が、起業を勧める起業コンサルタントの仕事だからです。
ここまで読めばわかると思いますが、起業コンサルタントがあなたに起業を勧めるのは、あなたのお金が欲しいからです。決して、あなたに何かの才能や、優れた技術があるから勧めている訳ではありません。
私も色んな人から起業相談を受けますが、まずは「本当に起業したいのか」を確認します。ほとんどの人は「今の仕事が嫌だから」「起業したほうがお金儲けができそうだから」といった理由で起業したがっています。
そんな理由の場合は、起業は絶対に勧めません。サラリーマンでそのまま働くか、パートやバイトをしたほうが確実に儲かります。それでも起業したい場合は、とりあえず副業からはじめることを勧めています。
それに、個人事業主として起業する場合、起業コンサルタントにコンサルをお願いするほどの大層な商売で起業する人はほぼいません。起業は税務署に開業届を出せばいいだけです。開業届の書き方も税務署の人が教えてくれます。
集客や経営に関しては、サポートが必要になる場合もありますが、それでも大金を払ってコンサルしてもらうほどの商売をやっている人は、ほとんどいません。
起業コンサルタントは「今、起業する準備をしている」という人をサポートする仕事ではなく、「起業すれば大儲けできるかも」と起業コンサルが思わせることができた人を起業させることが仕事です。ということを覚えておきましょう。それだけで、あなたは起業コンサルタントに近づくことはなくなり、起業を勧められることもなくなります。